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山下教授,藤吉教授らの論文がPLOS Genetics誌に掲載されました

このたび、中部大学工学部情報工学科の山下隆義教授、藤吉弘亘教授、伊藤啓太大学院生、基礎生物学研究所超階層生物学センターおよび筑波大学生存ダイナミクス研究センター(TARA)の重信秀治教授(クロスアポイントメント)らの研究グループは、マウス版Geneformerである「Mouse-Geneformer」の開発に成功しました。本モデルは、先行研究であるヒト版Geneformerを基盤に、最先端のAI技術であるTransformer Encoderアーキテクチャを用いて2100万細胞のマウス単一細胞遺伝子発現データを事前学習させた、遺伝子版大規模基盤モデルです。

研究グループは、Mouse-Geneformerを用いて、遺伝子発現データからのマウス細胞の細胞型分類や、細胞内の遺伝子発現変化の予測が高精度に可能であることを実証しました。従来手法と比較し、細胞型分類の精度が向上しました。また、in silico遺伝子摂動実験によって疾患に関連すると考えられる遺伝子を特定できることが示されました。さらに、研究グループは本モデルを異種間解析に応用する手法も提案しました。相同遺伝子(注3)変換を介してヒトのデータをMouse-Geneformerで解析すると、ヒト版Geneformerと同等の精度でヒトの細胞型分類が可能であることを確認しました。マウスの遺伝子発現データは、ヒトよりも多く収集・公開されており、また、ヒトでは技術的・倫理的に困難な実験のデータも取得可能です。このため、Mouse-Geneformerと異種間解析技術を組み合わせることによって、創薬や疾患研究の基盤情報として大きな貢献が期待されます。本研究成果は、3月19日付で、遺伝学の国際誌PLOS Geneticsに掲載されました。

https://journals.plos.org/plosgenetics/article?id=10.1371/journal.pgen.1011420