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講演題目:「量子測定の数理:物の測定と心の測定」
主 催:中部大学AI数理データサイエンスセンター
共 催:中部大学創発学術院
講演形式:アクティブホール(不言実行館)およびZOOM配信
申込方法:要事前申し込み
https://us02web.zoom.us/meeting/register/8stQhwb6T5e5Ly9fXfb-cA
対 象:教職員、学生、一般
詳 細:https://www.cmsai.jp/event/
講義概要:近年、「量子コンピュータ」や「量子暗号」など量子情報技術の発展が注目を集めています。本講義では、私が携わってきた研究を中心に、量子情報技術の根幹をなす「量子測定理論」の構築と応用について解説します。
アインシュタインは「何が測定可能かは、物理理論の仮定ではなく、その理論の結論として導かれるべきだ」と述べました。量子測定理論は、量子力学の基本原理から、何がどのように測定可能かを明確に導き出します。その結果、ハイゼンベルクの不確定性原理の定式化の不備を修正し、「干渉計による重力波の検出は不可能」とする定説を覆すことができました。この成果は、後に干渉計LIGOによる重力波検出の成功へと繋がりました。
一方で、測定が状態を変化させるという概念は、人間の認知にも適用可能です。例えば、世論調査では質問順序が回答に影響を与える「質問順序効果」が知られています。本講義の後半では、量子測定理論を応用した意思決定モデルについて紹介し、物理学と認知科学の新たな接点を探ります。
量子測定の数理が、物理の世界と心理の世界をどのようにつなぐのか、その可能性についても議論できればと思います。